あなたの夢はなんですか?
お父さんの夢はなんでしたか?
朝食を食べているときに
聞かれた質問だ。どうやら
作文の宿題のタイトルが
将来の夢らしい。
夢
夢をあがいた時期があった。
朝食を食べながら高校時代の日記
のことを思い出した。
お父さんの夢は会社を作って
社長になり世界中を旅すること
だった。
そう答えた。
ついこの間まで
家族で海外旅行に行っていた。
ところが、だんだん教育費が
かかるようになってきて
海外旅行に行けなくなった。
幼稚園時代に行ったシドニーの
ことをはっきりと覚えている
ので、世界を飛び回る仕事は
興味津々だったみたいだ。
実は会社の辞令でロンドン駐在
を命ぜられた。
私は行きたかったが反対したのは
妻であった。当時、長男が小児
喘息だった。
なので、断った。
次のロンドンは行きます。
そういったが声はかからなかった。
夢とは子供が描くものなのか。
学生時代に起業しある程度は
成功していた。
だから、小さな会社を作ることは
今でも得意だしサラリーマンに
なってからもこの経験は仕事に
フル活用できた。
実はハリーポッターのロンドンに
行けたんだ。
「えーーー?」
なぜいかなかったのか?
と批難された。
長男の責任にできないので
「お父さんの英会話がだめだった」
そう答えたら
「いまから英語を磨こう。僕も来年から
英語を必死に勉強する。おじいちゃんみたいに
英語も中国語もできるようになりたい。」
今からでは遅くない?
「やると決めたら、いまでしょ」
小学生の言葉に何かが変わった。
というか
ここのどこかにしまっておいた
何かが開いた。
確かに、真剣に英語の勉強をした。
ロンドンかニューヨークに転勤したかった。
ロンドン、ニューヨーク合わせて6年。
シンガポール、香港で6年
合計12年の海外駐在が待っていた。
でも、そのチャンスは二度と来ない。
「お父さん、チャンスは自分で作る」
「いつも言っているじゃないか。」
だから、もう一度頑張って
ロンドンに行こう。
子供の目は輝いていた。
いつどうして変わってしまったのか。
何がしたかったのか。
学生時代に作った会社は
引き継いだ同級生が大きくしてくれた。
創業者に名前はある。
そのまま、なぜ会社を運営
しなかったのか。
日記にはこう書いてあった。
「この際、会社を将来東証1部上場企業に
するため一度大企業に就職しまた、起業する」
なるほど。
こんなことを考えていたのか。
50前のおっさんにもう一度
チャレンジする勇気と体力が
あるのか。
わからないが、やってみるか。
そう思ってこの文章を書いている。
いまから、何をチャレンジするか。
資本金が最小限で、できる商売。
真剣に勉強するしかない。
何が本当にできるか。
授業のあいまに図書館で
企業目論見書を作り
(当時手書き)
食堂で夢を語り資金あつめの
アルバイトをしていた。
あの若さはない。
しかし、まだできる。
60歳になった時に
「あの時やっておけばよかった」
と後悔しないように
今やり始める。
「お父さん、僕ね。6年後には
社長になっているよ」
ガキの無邪気な笑顔に
自分が何をしていたのかと
考えさせられた朝だった。