大学時代の友人からメールが来た。久しぶりに飲み会の連絡かと思った。メールのタイトルは「ピンチ」である。浮気でもバレたのかと思ってメールを開いたら「ガンが見つかった」と書いてある。友人のメールに俺自身が凍りついた。
メールを最後まで読まずに駅のホームから電話した。
「おい、どこにガンがあるの?」
「腎臓だ。大静脈の横にある」
「手術は出来るんだろ。転移は?」
「転移はない。全摘と言われた」
「いや、セカンドオピニオンだ」
「どこの病院に行けばいいかな?」
「医者の友達に聞くから待て」
そう言ってから必死に電話する。
医者になった友達は30名以上いるのだ。
ある医師から紹介状を書くから
連れて来いと言われ一緒に行った。
その医師の診断では残すならこの病院しかない。
2つだ。
一つは国立ガン研究センター中央病院
もう一つは聖路加病院
国立ガン研究センターは名医藤本先生がいる。
聖路加病院にはダビンチが控えていた。
ダビチとは医療ロボットで開腹手術をしないで
がん細胞を切除する。
友が選んだのはダビンチだった。
手術前にメールが来た。
「おい、今から行ってくる。
明日には電話する」
俺は翌日の電話を待っていた。
「おー!生きてるぞ」
成功したみたいだ。人間ができる技ではない。
ダビンチとはそんなにすごい医療ロボットなのか?
退院後に「鮨食いたい」と言われ行った。
「病院食はもう嫌だ」「贅沢言うなよ」
「やっぱり遺伝なんだよ」俺の家族は腎臓癌だ。
マジか?腎臓癌も遺伝するの?
「先生が肥満、高血圧、喫煙でなるとさ」
「やばいじゃん。俺」
「世界の一流シェフが作ったお前のデブ体型と高血圧、喫煙とすべてそろっているな」
マジで凍りつく私。なんだか心配になって来た。
「遺伝子検査を受けてみたら?」
「遺伝子検査?なにそれ?」
「遺伝子で予測できるそうだ」
「マジで?」
「がん保険入っているよね?」
「医療保険で先進医療保険も入っている」
「なら、自腹で遺伝子検査受けてみなよ」
「毎年人間ドックには行っている」
「保険きかないけどね。」
「一生に1回だけの検査だよ」
そこで、受けてみた。
結果は予想どおりガンの遺伝子はいた。
やばいから、ダイエットだな。
もう遅いかもしれないけど。
一生に一度だけの検査か?
生きているから楽しみがありますからね。